兵庫県の農業

北は日本海、南は瀬戸内海から太平洋に面し、中央には中国山地がそびえる兵庫県では、地域によって気候や地形が異なります。農業においても、平地、中山間地、都市部と環境が異なり、そして米、野菜、畜産と生産しているものもさまざまで、そうした多様性が豊かな食を支えています。

旬を味わう 兵庫県の農畜産物

春/4、5、6月

  • 淡路島たまねぎ

    淡路島たまねぎ

    主な産地:淡路

    日照時間が長く、1年を通して温暖な淡路地域はたまねぎ栽培に最適です。甘みがあり、煮ても焼いても生で食べてもおいしいと評判の「淡路島たまねぎ」は、生産量全国第3位を誇ります。淡路島たまねぎ特有の甘みは、自然の風を利用してゆっくりと乾燥させることで作り出しています。

  • イチゴ

    イチゴ

    主な産地:阪神、東播、淡路

    兵庫県のイチゴ栽培は、明治32年頃に大阪の玉造から苗を持ち帰り、西宮市鳴尾村内で植えたのが始まりです。全国的に様々な品種のイチゴが栽培されており、県内でも地域ごとに工夫を凝らして、生産に力を入れています。特に、明石市魚住町で栽培される「清水いちご」や神戸市北区の「二郎いちご」が地域ブランドとして有名です。

  • キャベツ

    キャベツ

    主な産地:兵庫県内全域

    南北に長く豊かな自然環境を活かし、兵庫県全土で栽培されています。全国でも有数のキャベツ産地であり、生産量は全国第5位です。春に出回るキャベツは甘くて柔らかいのが特徴で、生食や浅漬けに向いています。一方、冬に収穫されるキャベツはお鍋などの煮込み料理にぴったりです。

夏/7、8、9月

  • ピーマン

    ピーマン

    主な産地:阪神、但馬、淡路

    兵庫県内で広く栽培されており、なかでも但馬地域は夏から秋にかけて収穫する夏秋ピーマンの関西最大級の産地です。昼夜の大きな寒暖差が、色艶がよく、肉厚で日持ちのよい高品質のピーマンをはぐくんでいます。

  • イチジク

    イチジク

    主な産地:阪神、東播、西播、淡路

    兵庫県は全国有数のイチジク産地であり、生産量は全国第4位です。本県でのイチジクの栽培の歴史は長く、昭和初期ごろ北米原産のドーフィン種を栽培したのが始まりとされています。芳醇な甘さと香り、瑞々しさが特徴であり、イチジクを加工したワインやジャムも人気です。

  • ぶどう

    ぶどう

    主な産地:阪神、東播、西播、但馬

    東播地域には、古くからブドウの産地があり、加西市生まれのゴールデン・ベリーAは、種なしで甘味が強く食べやすいのが特徴です。また、阪神地域ではワイン用の品種も多く栽培されており、神戸ワインとして人気があります。

秋/10、11、12月

  • 黒大豆

    黒大豆

    主な産地:阪神、東播、西播、丹波、但馬

    兵庫県の特産物である「丹波黒大豆」は、味はもちろん、皮が薄いのに煮ても破れにくいと全国的に高い知名度と評価を得ています。粒が大きく、形が良いため、おせち料理には欠かせません。また、きなこや納豆などの加工食品も人気を集めています。

  • 大納言小豆

    大納言小豆

    主な産地:西播、丹波、但馬

    丹波地域で古くから栽培され、現在は、丹波地域、西播地域、但馬地域で栽培されています。江戸時代には春日町東中地区で栽培されていた小豆が優れていると注目を浴び、幕府や朝廷に献上されたという記録が残っています。光沢があり四角く角張った形で大粒、皮が薄く煮詰めても形が壊れないのが特徴です。

  • 山の芋

    山の芋

    主な産地:阪神、丹波

    昔から薬用や高級和菓子の原料として使われてきた山の芋。丹波では江戸時代中期から栽培されていました。山の芋に欠かせないのは土づくりです。収穫と同時に来年用の土づくりをスタートし、冬春期の約5カ月を費やします。同様に夏場の水管理も重要です。手間暇かけてはぐくまれた山の芋は大きなげんこつのような形ですが、きめが細やかでくせがなく、贈り物としても喜ばれています。

冬/1、2、3月

  • レタス

    レタス

    主な産地:阪神、東播、淡路

    淡路島をはじめとして兵庫県南部で栽培されています。温暖な気候を生かし、冬の寒い時期にも出荷できる兵庫県の強みを生かし、全国で5位の生産量を誇ります。ふわっとボリューム感があり、シャキシャキの歯触りと甘みのある味わいが特徴です。

  • 岩津ねぎ

    岩津ねぎ

    主な産地:但馬

    江戸時代に生野銀山で働く人の冬の栄養源として栽培が始まったとされる岩津ねぎは、朝来市の伝統野菜です。柔らかい食感と豊かな甘みは、全国にファンがいるほど。昭和のころは、ほとんどが贈答用でしたが、平成3年から市場出荷が始まり、生産量は年々増加し、手軽に味わえるようになりました。

  • シュンギク

    シュンギク

    主な産地:阪神、東播、西播

    地方によっては「菊菜」とも呼ばれ、鍋には欠かせないシュンギクですが、兵庫県の生産量は全国第6位と全国有数の産地です。阪神地域では、消費地との距離が近い恵まれた立地を生かしシュンギクを含む葉物野菜を新鮮なまま周年出荷しています。

通年

  • 山田錦

    山田錦

    主な産地:東播、阪神

    酒造好適米の中でも最高の品種といわれる山田錦は、兵庫県で昭和11年に生まれた品種。大粒で、中心部はでんぷん質の心白が大きく、タンパク質の含有量が少ないのが特徴です。毎年、全国新酒鑑評会で金賞・入賞を獲得する日本酒の多くは「兵庫県産山田錦」で造られています。

  • 但馬牛

    但馬牛

    但馬地域にルーツを持ち、今も兵庫県内でのみ育てられている黒毛和牛。他府県牛との交配を避けながら、独自の改良を重ねて血統を守ってきた品種です。各地域の恵まれた気候や森林、きれいな水資源などの自然環境で育まれた但馬牛は、霜降りが美しく、肉質が良いのが特徴で、神戸ビーフや松阪牛の素牛としても知られています。

データで知る兵庫県の主な農産物

品 目

生産量等

全国順位(シェア)

主な産地

山田錦(酒米)

20,542 t

1位(59.3%)

播磨地域

丹波黒(黒大豆)

1,072 t

1位(41.1%)

丹波・播磨地域

野菜

たまねぎ

98,500 t

3位(7.3%)

淡路地域

レタス

29,300 t

5位(5.2%)

淡路地域

シュンギク

1,350 t

6位(4.9%)

神戸・阪神地域

はくさい

20,300 t

11位(2.3%)

淡路地域

キャベツ

28,000 t

11位(2.0%)

淡路・神戸地域

果実

いちじく

1,342 t

4位(11.3%)

神戸・阪神地域

びわ

165 t

5位(6.2%)

淡路地域

くり

456 t

9位(2.7%)

丹波・阪神地域

花き

カーネーション

18,500 千本

4位(9.0%)

淡路地域

花壇用苗もの類

26,000 千本

4位(4.6%)

神戸・播磨地域

畜産物

生乳

77,648 t

15位(1.0%)

淡路・播磨地域

肉用牛

57,300 頭

10位(2.2%)

淡路・播磨・但馬地域

鶏卵

99,434 t

10位(3.8%)

播磨地域

プロイラー

13,669 千羽

11位(1.9%)

但馬地域

はちみつ

70 t

14位(2.4%)

播磨・阪神地域

(兵庫県「ひょうごみどり白書2021」から引用)